1995 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロカプセル化ラ氏島移植における血管新生の機序
Project/Area Number |
07857084
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
長谷川 保弘 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (90270959)
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Keywords | ラ氏島移植 / マイクロカプセル / 血管新生 / 腹腔内移植 |
Research Abstract |
移植医療では、ドナーの制限があるため異種移植が中心となって行くものと思われる。異種移植においては免疫反応を抑えることが重要である。免疫反応が抑えられたマイクロカプセルは、異種移植を成功に導く手段の一つと考えられる。私共は、移植後100日以上と良好な生着成績を残している岩田のアガロースに着目し、マイクロカプセル化ラ氏島の機能・形態ならびに移植部位について、ラット異系移植にて比較検討を行なった。 1:カプセル化ラ氏島の腹腔内移植・皮下移植・皮下誘導による大網下移植を行い生着効果について検討した。 2:腹腔内移植では1000個のカプセルの移植にて、血糖値の降下作用を得た。 3:皮下移植では、固い皮膚に覆われるためカプセル同志で凝集が起こりラ氏島に必要充分な酸素や栄養が供給されず、機能しなくなるものと考えらた。 4:腹腔内移植では機能不十分時に摘出しなければならない問題点があり、今回特に門脈系に血液循環する大網に着目し、大網を皮下に誘導し大網と腹直筋との間のスペースにカプセルを移植することにより再移植を可能とし、カプセルの摘出を考慮に入れた実験系を考案した。 5:皮下誘導大網下に移植した群では(n=6)、60日以上血糖の降下作用を得た。カプセル摘出後速やかに高血糖を示し、大網下には大網に取り込まれたカプセル化ラ氏島がH.E染色にて確認された。静脈内糖負荷テストは正常群・移植群・DM群で、K値は各々1.81・0.76・0.49であった。 6:皮下誘導大網下移植は生理的で容易であり、異種移植に向けて移植部位としては最適ではないかと考えられた。
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