1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07857109
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
渡辺 潤 日本医科大学, 医学部, 助手 (50247003)
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Keywords | 腎癌 / 免疫療法 |
Research Abstract |
本研究課題は、腎癌に対する自己腫瘍特異的細胞障害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte、CTL)の誘導が目的である。そこで、当教室で手術標本から樹立した4株の腎癌細胞株と末梢血由来リンパ球(peripheral blood lymphocyte、PBL)を自己の系で混合培養し(in vitro sensitization、IVS)、得られたリンパ球(IVS cell)の自己腫瘍細胞障害能を4時間^<51>Cr-releasing assayで検討した。腫瘍細胞の抗原性を増強させるため、IVSにinterferon(IFN)-α/γ、macrophage colony-stimulating factor(M-CSF)を添加した系も同様に検討した。PBLを固相化抗CD3抗体で活性化後、bulk culture conditionで培養して用いたため、phenotypingの結果、IVS cellの98%以上をTリンパ球が占めた。IVS cell、およびIFN-α/γを添加したIVS cellの自己腫瘍細胞障害能は軽度増強にとどまったが、bulk culture conditionに100U/ml M-CSFを添加することにより、PBLは18.0±13.8L.U./10^7から35.3±8.28L.U./10^7と1.96倍の増強を(p=0.023)、IVSに10U/ml M-CSFを添加することにより、IVS cellは24.6±4.33L.U./10^7から46.4±11.7L.U./10^7と1.89倍の増強を示した(p=0.054)。同IVS cellの抗T cell receptor(TcR)抗体処理後の細胞障害能は60%以上の抑制を示したため、腫瘍細胞認識にはTcRの関与が考えられた。以上のことから、腎癌に対するCTLの誘導にあたってIVSにM-CSFを添加した系の有用性が示唆されたと考えられた。これらの結果を踏まえ、現在、サイトカイン遺伝子を導入した腎癌細胞に対する、抗腫瘍効果増強の可能性について検討中であり、今後の研究課題であると考えている。
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