1995 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンホスファターゼによる脳神経の増殖分化シグナル制御機構の解明
Project/Area Number |
07857166
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻川 和丈 大阪大学, 薬学部, 助手 (10207376)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / 脳神経 / 増殖分化シグナル伝達 |
Research Abstract |
レセプター型チロシンホスファターゼLARとチロシンキナーゼFynの発現ベクターを構築し、COS7細胞にダブルトランスフェクション後、抗LAR、抗Fyn、抗チロシン燐酸化抗体を用いて解析を行った。その結果、酵素活性中心を変異させたLARと野性型Fynのダブルトランスフェクションにより、これら2つの分子は会合して存在していること、また野性型LARとチロシンキナーゼをネガティブに制御しているC末端を変異させ、構成的にキナーゼが活性化されているFynを用いた検討では、LARはFynの自己燐酸化チロシン残基を脱燐酸化することが明らかとなった。さらに興味深いことにはLARの細胞内ドメインはFynによってチロシン燐酸化されることであった。このFynによるLARのチロシン燐酸化がLARの酵素活性あるいは特異的基質に対するアフィニティーに影響を及ぼすかは現在検討中である。 一方、Fynはミエリン形成に重要なチロシンキナーゼであるということが知られている。またLARも脳で発現していることが明らかにされている。これらのことと上記の結果より、ミエリン形成にLARは機能しているのではないかとの推測を立て、シュワン細胞に分化しうるヒト神経芽細胞腫を用いてLARの発現を調べたところ、その高発現が確認できた。現在この細胞を用いてLARとFyn、ミエリン形成シグナル伝達との関係も検討中である。 さらに興味深いことにLARはインスリンレセプターのシグナル伝達をも、Fynとの関係に類似した作用機構で制御していることも明らかとした。よって本研究によりLARはこれらチロシンキナーゼの制御に必要不可欠の酵素であることが明らかとなり、その研究の進展が注目される。
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