2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国の生産性と経済成長:産業・企業データを用いた実証研究
Project/Area Number |
07F07018
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
深尾 京司 Hitotsubashi University, 経済研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YUAN Tangjun 一橋大学, 経済研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 中国 / 全要素生産性 / 国際競争力 / 製造業 / 国際分業 / 資源再配分 / 経済成長 / 購買力平価 |
Research Abstract |
東アジアの各国間での直接投資は、ヒト、モノ、カネのやりとりを緊密化させ、その結果、域内貿易が急速に拡大しつつある。一つの地域経済としての東アジアの特徴は、中間財の占める割合が大きく、国境を越えた分業を進展させていることが挙げられる。特に電気機械・パソコン(PC)関連のIT産業の中間財貿易が最も活発化していることが観察される。国際分業の進展に伴って、アジア域内各国企業・産業の国際競争力は常に変化していく。国際競争力を表す指標のひとつとしては全要素生産性が考えられる。しかし、これまでのアジア諸国のTFPに関する研究は殆どマクロ(もしくはセミマクロ分析に基づいている。生産要素の限界生産性は産業間、企業間において格差があるので、マクロ集計レベルでは、企業の特性や、資源の再配分の効果を観察し難い。産業や企業単位の生産性を分析する際に、従来は労働生産性を対象にすることが多かったが、アジア地域のように域内各国の経済発展段階が大きく異なる場合、生産活動に用いる技術(生産要素の投入割合)は大きく異なることが予想される。したがって、労働と資本の両方の生産性を考慮した全要素生産性(TFP)の比較することが、理論的に望ましい。日本企業は製造業において長い間に強い国際競争力を持っていたが、中国企業や韓国企業がどの程度キャッチアップしてきたかを、答えするために、本研究では、中国と日本、韓国そして台湾地域の企業単位の生産性分析データベースを構築した上、産業別・企業別TFPの国際比較を通じて各国企業・産業の国際競争力を検討すること、同時に、中国企業のTFPを計測結果を用いて、企業改革が生産性に与えた影響、生産性の高い企業が活発に設備投資を行っているか否かなどについて分析すること。また中国に残存する非効率的な資源配分問題は今後顕在化し、成長を強く制約するリスクについても分析している。
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Research Products
(3 results)