2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国の生産性と経済成長:産業・企業データを用いた実証研究
Project/Area Number |
07F07018
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
深尾 京司 Hitotsubashi University, 経済研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YUAN Tangjun 一橋大学, 経済研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 中国 / 全要素生産性 / 国際競争力 / 製造業 / 国際分業 / 資源再配分 / 経済成長 / 購買力平価 |
Research Abstract |
本研究は、中国と日本、韓国そして台湾地域の企業単位の生産性分析データベースを構築した上、産業別・企業別TFPの国際比較を通じて各国企業・産業の国際競争力を実証分析することである。主に日本及び韓国については1985〜2005年を、中国に関しては1999〜2005年を、台湾に関しては1985-2005年、それぞれ分析対象期間とする上場企業のパネルデータを整理した上で、1、全要素生産性水準の企業及び産業レベルの国家間比較を、2、全要素生産性を基準とした各国企業集団内の統計的不均一性の程度を、3、企業集団内生産性不均一性の時系列的な収束傾向を各々検証している。Baily,Hulten and Campbell(1992)及びBartelsman,Haskel and Martin(2006)らが開発した分析モデルを用いて、観測値数が65,000件を超す大規模なデータセットを慎重に吟味しがなら、次の実証成果が得られた。1、日本の上場企業は、全要素生産性の平均的水準で見ると、多くの産業部門において韓国及び中国企業を凌駕しているが、その時系列的な上昇傾向は相対的に弱い、2、産業部門内の企業生産性は、日本が最も均質的である、3、韓国においては、相対的に生産性の低い企業の最も高い生産性を誇る企業へのキャッチアップ速度が日本よりもより速い、の3点に集約される。これらの事実発見は、アジアの今後の経済発展と分業構造を考える上でも、大変示唆的であると考えられる。なお、中国についてはTFPの計測結果を用いて、企業改革が生産性に与えた影響、生産性の高い企業が活発に設備投資を行っているか否かなどについても分析し、中国に残存する非効率的な資源配分問題は今後顕在化し、成長を強く制約するリスクについても検討している。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
金旭, 金栄愨, 権赫旭, 袁堂軍
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Journal Title
財団法人日本経済研究センター編『日中韓台の生産性と日韓の組織資本の比較分析』第3章、「中国上場企業の生産性分析 (1999-2005)」(財団法人日本経済研究センター)
Pages: 61-90
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[Journal Article]2009
Author(s)
深尾京司, 乾友彦, 伊藤恵子, 金栄懇, 袁堂軍
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Journal Title
日本経済研究センター編『日中韓台の生産性と日韓の組織資本の比較分析』第4章、An International Comparison of the TFP Levels and the Productivity Convergence of Japanese, Korean, Taiwanese and Chinese Listed Firm(財団法人日本経済研究センター)
Pages: 91-120
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