2007 Fiscal Year Annual Research Report
内包フラーレン固体の物性:閉じ込められた空間における分子および単一原子
Project/Area Number |
07F07025
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Research Institution | Tohoku University |
Host Researcher |
谷垣 勝己 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
唐 軍 東北大学, 大学理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | フラーレン / ラットリング / ナノクラスタ / 超伝導 / 内包 |
Research Abstract |
Ga-Ge骨格を用いて内部空間の大きさを一定にして、内包原子の大きさだけを変化させる研究手法を適用するためにM_8Ga_<16>Ge_<30>(M=Sr,Ba,Eu)クラスレート物質を用いた。この物質系では、内殻準位に対して軟X線光電子分光手段を用いた研究から、骨格構造に関して従来とは異なる重要な知見を得ることできた。Ba_8Ga_<16>Ge_<30>ではBa4d内殻準位のスペクトルのうち、広い空間に内包される6dサイトに対応する1種類のスペクトルが観測されるのに対して、Sr_8Ga_<16>Ge_<30>では、2種類のSr3d内殻準位のスペクトルがあることがわかった。6dサイトにおける2種類のSrの存在は、"on-center"モードと"off-center"モードのSr原子位置に対応している。しかし二つのスペクトルは、0.7eV程度のエネルギーシフトの違いを示すという重要な結果が観測された。内包原子の運動が関係したラットリングフォノンは数meVのエネルギースケールであることが知られており、今回の実験事実は、"on-center"と"off-center"のSr原子は元素の配置が異なる別種類の骨格に内包されていることを示している。従来の研究では、Ga-Geの多面体骨格構造はほとんど同じであると想定して、内部原子の内部空間に対する大きさの観点を中心として多くの議論がなされていたが、本研究から、ケージにおける元素配置は内包原子の種類に依存しており同一ではないということが明らかになった。
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Research Products
(9 results)