2008 Fiscal Year Annual Research Report
内包フラーレン固体の物性:閉じ込められた空間における分子および単一原子
Project/Area Number |
07F07025
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷垣 勝己 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐 軍 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | フォノン / 電子状態 / クラスレート / 熱電変換物質 / 軟X線光電子分光 / 原子分子内包物質 / 単結晶 / 伝導キャリア制御 |
Research Abstract |
当該年度においては、内包フラーレンに代表される、ナノスケールのケージ構造とケージ内部空間に内包された原子・分子からなる物質群について、内包原子・分子の動的挙動を種々の物性測定から明らかにし、フォノン状態と電子状態との関係を詳細に検討するための研究を実施した。上述の物質群の一種であり、IV族元素により構成されるクラスレート物質は、ケージ内部空間に閉じ込められた原子の非調和振動モードフォノンが与える特異的な性質から、高温熱電変換材料として高い注目を集めている材料である。Ba8Ga16Ge30半導体クラスレート物質(BGG)において、BaおよびGa元素の比率を精密に制御することで電気伝導キャリアを制御し、そして単結晶化した試料(P-BGGおよびN-BGG)の電子状態を軟X線光電子分光法(XPS)などから詳細に検討した。XPSにおけるBa4d内殻スペクトルを詳細に解析した結果、波形分離したスペクトル成分の相対強度比がP-BGGとN-BGGとでは互いに異なっていることがわかった。X線回折測定から得た精密結晶構造解析結果と考え合わせると、Ga-GeケージにおけるGa原子の占有位置がP-BGGとN-BGGとでは異なり、このことが内包Ba原子の動的挙動に影響してBa4d軌道の電子状態を変化させたと解釈でき、その結果として伝導特性に影響を与えたと考えることができる。これらの結果は、高効率熱電変換材料設計において有益な知見を与えるものである。また本研究の成果はChemical Physics Letters誌に掲載された(472,60-64(2009))。
|
Research Products
(14 results)