2007 Fiscal Year Annual Research Report
銀河団を用いた宇宙論:スニャーエフゼルドビッチ効果・X線・重力レンズからの制限
Project/Area Number |
07F07030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須藤 靖 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
REESE Erik 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | X線銀河団 / SZ効果 / 重力レンズ |
Research Abstract |
歴史的には、銀河団統計は宇宙論パラメータを決定する最も有力な方法として提案された。しかし、他の方法論の観測精度が向上した現在、銀河団ガスの複雑な物理の理解が限界となって、超新星、重力レンズ、バリオン振動という最近提案された方法論に比べると、宇宙論パラメータに対して与える制限は弱いものと考えられている。我々のグループは最近、銀河団ガスの温度構造とゆらぎに対する新しい解析モデルとして対数正規分布モデルを構築し、銀河団統計の系統誤差を補正する可能性を提案した。X線および電波のスニャーエフ・ゼルドビッチ効果を用いた銀河団サーベイが現在数多く進行しつつある現状を考慮すると、それらと組み合わせることで銀河団統計がより精密な宇宙論パラメータ決定法となる可能性が現実的なものとなりつつある。 今年度はこの解析モデルの予言を、銀河団X線観測データと比べることで、モデルパラメータを読み取る方法論を完成させた。また、実際のデータと比較することで、対数正規分布モデルが現実にもよい近似として実現していることを発見した。この結果は現在論文としてまとめている段階である。従来はシミュレーションを用いて数値的に研究する以外の方法は提案されておらず、我々のような解析的モデル化の試みは他に例がない。
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Research Products
(2 results)