2007 Fiscal Year Annual Research Report
窒化ニオブチタンを用いたHEBミクサーの開発によるテラヘルツ帯天体観測の開拓
Project/Area Number |
07F07031
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 智 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIANG Ling 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 天文 / 超伝導デバイス / テラヘルツ波 / サブミリ波 |
Research Abstract |
本年度は、0.8THz帯におけるホットエレクトロンボロメータ(HEB)ミクサの開発を行った。超伝導物質としてはNbTiNを採用し、12nm程度の厚みの薄膜を用いてHEBミクサを製作した。ミクサの入力インピーダンスと、導波管のインピーダンスとのマッチングを電磁界シミュレーションにより検討することで、最適な入力回路(ストリップ回路)を構成した。このHEBミクサと小型機械式冷凍機を用いて、0.8THz帯の受信機を構成し、その性能を測定したところ、受信機雑音温度で500Kを実現した。これは導波管型としては世界トップクラスの結果と言える。本研究室において、以前得ていた雑音温度、1500Kから一挙に下げることができたのは、前述のインピーダンスマッチングの最適化が大きく寄与していると考えられる。また、これまでの実験においては、局部発振電力をRF信号と結合するためにワイヤーグリッドを用いていたが、その傾きの調整が難しく、実験自体を広い条件で行うことが容易でないという問題があった。本研究ではこの点を含め、局部発振電力の結合系を新たに製作し、安定に実験ができるようになった。結合にはマイラーフィルムを用いることにより、冷凍機の振動による局部発振電力の変動が抑えられ、受信機出力が著しく安定化した。これらの結果、0.8THz帯において十分な性能が得られることがわかったので、目標である1.5THz帯の受信器の局部発振光学系の設計を上記の経験を基に開始した。
|