2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07034
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
萩原 薫 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JAGER Barbara 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | LHC / ヒッグスボソン / ベクトルボソン衝突 / 輻射補正 / 量子色力学 / 電弱統一理論 / ラピディティーギャップ / グルーオン衝突 |
Research Abstract |
平成20年度中に開始されるLHC実験は、電弱ゲージ対称性の破れの機構を解明し、その背景にあるテラスケールの物理を探るととで、全ての素粒子とその相互作用の統一理論に向けての実験的手掛かりをもたらすと期待されている。本研究計画の中核をなすベクトルボソン衝突過程は、弱ゲージボソンの質量生成機構を直接的に探る、LHC実験の最重要過程である。理論的には、電弱ゲージ対称性を破る物理は、必ず、この過程に強く結合する。一方、実験的には大横運動量、大不変質量のジェット対を捕らえ、且つ二ジェット間のハドロン生成が小さいことを要請する必要がある等、シグナルとバックグランドの分離が難しい。本研究の目的は、電弱対称性を破る様々な素粒子模型のシグナルに対してQCD及び電弱理論の輻射補正を求めることによって、困難な実験解析作業の指針を与えることである。 平成19年度の研究で、最重要なヒッグスボソン生成過程である弱ベクトルボソン衝突過程と、全く同じ始終状態を持つ2ジェットを伴うグルーオン衝突過程との干渉項の計算に成功した。この2過程は、同じ始終状態を持つにも関わらず、一方がカラー1重項交換、他方がカラー8重項交換であるために、ツリーレベルでは干渉しない。1ループの補正を考慮して初めて干渉するため、今までその計算がなされていなかった。この成功により、LHCでのベクトルボソン衝突によるヒッグスボソン検出の鍵と考えられているラピディティーギャップに対する摂動QCD補正の1例が得られ、世界的な注目を得た。
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Research Products
(1 results)