2008 Fiscal Year Annual Research Report
断層帯の浸透率・弾性波速度構造とその地下深部流体挙動解析における重要性
Project/Area Number |
07F07042
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
嶋本 利彦 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MITCHELL Thomas Matthew 広島大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 断層帯 / 弾性波速度 / 浸透率 / 断層の力学 / 地震の発生機 / 地球内部の流体 / 有馬-高槻構造線 / サンアンドレアス断層 |
Research Abstract |
本研究の目的は、断層帯の内部構造、力学的性質、浸透率・貯留係数のような水理学的性質に関する構造、および弾性波速度構造を調べて、地震の発生過程および地下深部における流体移動の定量的な解析に必要な断層モデルを提示することである。 今年度は、スペインのカルボネラス断層とチリのアタカマ断層を詳しく調べ、それらの断層帯の内部構造と断層帯に接する母岩中のダメージ分布について論文で報告した。それらの断層は数層の網目状の断層ガウジ帯をもち、ダメージゾーンと断層コア部からなる通常の断層よりは遙かに複雑な内部構造をもつことを明らかにした。この結果は、複雑な構造をもつ大規模断層の実例として注目を集めた。アタカマ断層では、母岩中のダメージが断層帯から離れるにつれて規則的に減少しており、それに対して経験則を提唱した。もう1つの公表論文では、室内の三軸試験機を用いて差応力のサイクル試験をおこなって岩石中に様々なダメージ(密度の違うクラックなど)を作り、同時に岩石試料の浸透率を測定した。この結果を自然の断層のダメージ分布に関する経験則を合わせることによって、断層帯の浸透率構造を記述する経験則を提唱した。この経験則は、地下流体の挙動を解く上で極めて実用的な経験則である。この成果は、流体移動に対する断層帯の影響を解析する道筋を示した点において有用である。 その他、有馬-高槻構造線、サンアンドレアス断層沿いの衝撃粉砕岩の調査と変形組織の解析、サンアンドレアス断層系(サンフランシスコ市・金門橋近く)から採取した蛇絞岩断層ガウジを用いた高速摩擦実験、イタリアの断層帯から採取した無水石膏とドロマイトからなる断層ガウジの高速摩擦実験、数種類の層状鉱物からなる断層ガウジを用いた高速摩擦実験をおこない、地震発生時に断層の大きな強度低下が起こることを示した。これらの成果は、国際学会で報告し、現在数編の論文を準備中である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
Faulkner, D. R.
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Journal Title
Wibberley, C. A. J., Kurz, W., Imber, J., Holdsworth, R. E. & Collettini, C., eds.,“Structure of Fault Zones : Implications for Mechanical and Fluid-Flow Properties", Geological Society, London, Special Publications, 299(On the structure and mechanical pr
Pages: 139-150
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