2007 Fiscal Year Annual Research Report
水酸化鉄および酸化マンガンによるセリウム(III)の酸化過程の解明に基づく古環境解析
Project/Area Number |
07F07045
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 嘉夫 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANIRBAN Das 広島大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | マンガン団塊 / セリウム / セレン / テルル / EXAFS / 表面錯体 / 外圏錯体 / 内圏錯体 |
Research Abstract |
本研究では、環境中で微量元素が受ける酸化還元反応について詳細に調べることを目的に、特にセリウムに着目して研究を進めることを計画した。特にセリウムは、希土類元素パターンに現れるセリウム異常に着目することで、古環境解析にも応用することができるので、非常に重要である。この環境中でのセリウム異常が生じるためには、マンガン酸化物によるセリウムの酸化反応が重要であり、この点について研究を進めている。特に、海洋環境でのマンガン酸化物として重要なマンガン団塊に着目し、マンガン酸化物による微量元素の酸化反応に着目して研究を進めている。その過程で、マンガン団塊に濃集する元素としてテルルに着目して本年度は研究を進めた。テルルはマンガン団塊に濃集するが、一方同族であるセレンはむしろ海水への分配が大きく、その2つの元素の分配係数は5桁以上異なる。この原因を解明するために、本研究では、天然のマンガン団塊および室内実験での吸着実験で作成した鉄マンガン酸化物に対するEXAFS実験を行い、セレンおよびテルルの局所構造を調べた。その結果、2つの元素の分配挙動の違いを生む原因として、鉄-マンガン酸化物への表面錯体の構造が考えられた。セレンは鉄-マンガン酸化物に対して外圏錯体しか生成せず、表面錯体が不安定であるため、マンガン酸化物への濃集は生じない。一方テルルは、鉄-マンガン酸化物と内圏錯体を生成するため、表面錯体が安定であり、マンガン酸化物への濃集が生じると考えられる。
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Research Products
(3 results)