2007 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒反応を活用した新規拡張ポルフィリンの合成
Project/Area Number |
07F07053
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RATH Harapriya 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | ポルフィリン / 遷移金属 / 錯体 / 密度汎関数法 / 分子軌道計算 / メタセシス / 芳香属性 / ヘテロ環化合物 |
Research Abstract |
我々の研究グループでは5つ以上のピロールをもつポルフィリン類縁体である環拡張ポルフィリンおよびその金属錯体に関する研究を精力的に行っている。最近、ピロール8つからなる環拡張ポルフィリンであるオクタフィリンに2価の銅イオンを作用させると、まず銅二核錯体が生成し、これを加熱すると炭素-炭素結合の組み替えが起こり、二分子の銅ポルフィリンに分裂するという驚くべき反応を見いだしている。これまでこの反応はペンタフルオロフェニル基をもつオクタフィリンのみについて観察されていた。この反応の一般性について検討するべく、置換基の異なるオクタフィリン例えばペンタフルオロフェニル基と2,6-ジクロロフェニル基を交互に持つオクタフィリンを合成し、その銅塩との反応を試みた。その結果、これまでのペンタフルオロフェニル基のみをもつオクタフィリンの場合よりも低温で速やかにポルフィリンへの分裂反応が進行することを見いだした。さらに興味深いことにこれまでは銅二核錯体においてのみ観測されていたポルフィリンへの分裂反応が銅単核錯体やコバルト錯体においても起こるという事実を見つけた。この発見はこのオクタフィリン金属錯体のポルフィリン金属錯体への分裂反応のメカニズムを解明する上で、非常に重要な知見である。現在、反応機構の詳細について解明するべく、更なる実験とあわせて密度汎関数法による分子軌道計算を行っているところである。
|