2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒反応を活用した新規拡張ポルフィリンの合成
Project/Area Number |
07F07053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大須賀 篤弘 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HARAPRIYA Rath 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ポルフィリン / 遷移金属 / 錯体 / 密度汎関数法 / 分子軌道計算 / メタセシス / 芳香属性 / ヘテロ環化合物 |
Research Abstract |
当初は、遷移金属触媒を用いた拡張ポルフィリンの新しい合成法の開発を行っていたが、偶然にもまったく前例のないヘキサフィリレンの還元体の金属錯化挙動を発見し、その線で研究を遂行した。還元作用のある金属塩を用いた場合、ヘキサフィリンは速やかに還元されて、28π電子系を持つ還元体になり、それが金属錯化される。ロジウムやパラジウムで非常に教務深い錯体の合成に成功した。 環拡張ポルフィリンの一種であるヘキサフィリンはその共役に関与するπ電子数が26の酸化体と28の還元体が存在する。前者は通常の芳香族分子であるが後者はメビウス芳香族分子分あることが分かっている。前者の金属錯化挙動はこれまでに比較的詳しく研究されているが、後者の金属錯化挙動は当初全く調べられていなかった。そこで、ロジウム(I)あるいはパラジウム(II)とヘキサフィリンの反応を詳しく調べたところ、前者からは、平面構造のビスロジウム錯体が得られ、これらは、平面構造を維持したままで、2電子酸化還元を行い、ヒュッケルの芳香族性と反芳香族性の相互変換を行うことを突き止めた。具体的には、メゾ位にペンタフルオロフェニル基が置換した[28]hexaphyrinをロジウム塩と反応させたところ、ロジウムが2個同じ側に配位した平面錯体が得られた。これは28π電子系であり、反芳香族性を示すことがわかった。この生成物をDDQで酸化すると平面構造を保つたまま、26π芳香族電子系化合物に変換できることがわかった。また、パラジウム(II)塩との反応では、非常に安定なラジカルであるパラジウム錯体が得られることが分かった。化学構造や電子系が特異な非常に面白い化合物である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Unambiguous Identification of Mobius Aromaticity for meso-Aryl-Substituted [28]Hexaphyrins (1. 1. 1. 1. 1. 1)2008
Author(s)
Jeyaraman Sankar, Shigeki Mori, Shohei Saito, Harapriya Rath, Masaaki Suzuki, Yasuhide Inokuma, Hiroshi Shinokubo, Kil Suk Kim, Zin Seok Yoon, Jae-Yoon Shin, Jong Min Lim, Yoichi Matsuzaki, Osamu Matsushita, Atsuya Muranaka, Nagao Kobayashi, Dongho Kim Atsuhiro Osuka
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Journal Title
J. Am Chem. Soc. 130
Pages: 13568-13579
Peer Reviewed