2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 進 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GHOSH Sujit Kumar 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 外国人特別研究員
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Keywords | 多孔性金属錯体 / 配位高分子 |
Research Abstract |
本年度は、3つのcarboxylethyl基を有するtris(2-carboxylethyl)isocyanurate(tciH_3)を架橋配位子に用いてCu(II)多孔性配位高分子を合成し、溶媒の吸脱着による可逆的な構造および磁気特性変化を検討した。架橋配位子tciH_3は三方向に柔軟架橋構造を展開可能であり、そのねじれにより不斉誘起も可能である。硝酸銅とtciH_3との反応により、{[Cu_2(tci)(OH)(H_2O)_3]1.5H_2O}が青緑色結晶として得られた。この化合物は、水酸化物イオン、カルボン酸と水の架橋による一次元鎖がtciにより連結された2次元構造を形成していた。この結晶を125℃で加熱処理すると、無水物{[Cu_2(tci)(OH)]}の青色結晶が得られた。配位水の脱離により空いたサイトに隣接するカルボキシル酸素が配位することで、2次元シート間か連結されて3次元骨格構造へと変化した。この構造変化においては架橋している水も除かれるため、Cu(II)間の構造も大きく変わった。それに伴って、Cu(II)間の相互作用が強磁性的から反強磁性的に変化した。また、水蒸気にさらすと速やかにもとの構造、色、磁気特性を復元した。この構造変化は、単結晶相を保持したままsigle-crystal-to-single-crystalで進行した。脱水相は水のみを吸着した。このゲスト選択性には、カルボン酸架橋の開裂とゲストの配位を伴う吸着であり、かつpore sizeが小さいために、ゲストの立体効果と配位能が強く影響している。構造自由度の高い配位子tciH_3を用いることで、単結晶のままゲスト応答による大きな構造変化を示すsoft crystal系の構築に成功した。今後は、化学的応答を利用したゲスト誘起キラリティやゲスト選択的な触媒能の発現が期待される。
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Research Products
(5 results)