2008 Fiscal Year Annual Research Report
オレフィンの精密重合を指向した高性能チタン錯体触媒の設計・合成
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07F07061
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 琴広 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAEED Irfan 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 遷移金属錯体触媒 / 精密重合 / チタン錯体触媒 / 有機金属化学 / 新規ポリマー / エチレン系ポリマー / 配位子設計 / 均一系触媒 |
Research Abstract |
本課題はオレフィン系ポリマーの精密合成を可能とする高性能チタン錯体触媒の設計・創製で、今迄の成果から知見の豊富な非架橋のハーフメタロセン型チタン錯体触媒に注目し、触媒活性への配位子や配位子上の置換基効果を詳細に検討することで、より高性能触媒の創製を目的としている。平成20年度の成果は以下の通りである。 アリロキソやケチミド配位子に代わる有望なアニオン性支持配位子として、モノアニオン性のピロリド配位子やピラゾリル配位子に注目して課題に取り組んだ。各種錯体は、今迄のアリロキソ配位錯体やアミド配位錯体と同様、各種Li塩との反応などにより合成し、NMRや元素分析により同定した。一部の錯体はX線構造解析に成功した。各種錯体を用い、メチルアルミノキサン助触媒の存在下でエチレン重合を検討すると、いずれの錯体も高い触媒活性を示し、その活性は使用するアニオン性配位子上の置換基の影響を強く受けた。なお、ピロリド配位チタンジクロリド錯体による重合で得られたポリマーの分子分布は2峰性で、その割合は使用するA1量の影響を強く受けた。このジメチル錯体とホウ素系助触媒とのエチレン重合で得られるポリマーの分子量分布は単峰性となる(かつ触媒活性は向上する)ことから、使用するA1化合物により配位子の一部が解離(触媒が一部失活)していることが示唆された。ピラゾリル配位錯体触媒は、ピロリド配位錯体より高活性を示し、分子量の揃ったポリマーを与えることから、キレート配位による触媒活性種の安定化効果が示唆された。Organometallics誌に掲載されたピロリド配位錯体の論文は、同誌のMost Read Journal(2009年度1-3月度)として紹介された。
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Research Products
(5 results)