2008 Fiscal Year Annual Research Report
上向流式管理型ウェットランドの植生を利用したアゾ染料含有工業廃水の植物浄化
Project/Area Number |
07F07086
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山際 和明 Niigata University, 自然科学系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ONG Soon-An 新潟大学, 自然科学系, 外国人特別研究員
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Keywords | 廃水処理 / 人工湿地 / アゾ染料 / 嫌気好気処理 / 上向流 / 窒素除去 |
Research Abstract |
人工湿地は自然界と遮断された人工の廃水処理設備であり,必要設置面積が広いという欠点を有するが設備費が低く維持管理が容易であるという利点を有する。このため,これまでに浸出水や家庭廃水を対象とした小規模処理に適用されているが,発展途上国にも適用な可能な廃水処理技術として注目されている。特に,東南アジアは世界の工場ともいわれるほど各種製造業の活動が活発であり,製造活動に伴って排出される廃水の効果的処理技術の開発が重要である。人工湿地はこれらの地域に適した処理方法であるが,特に生物難分解性有機物質を処理するための技術を開発する必要がある。 本研究では,生物難分解性有機汚濁物質としてアゾ染料を取り上げた。アゾ染料は嫌気微生物によってアゾ結合が分解され,好気微生物によって中間生成物が無機化される。このため補助的通気を伴う上向流式人工湿地リアクターによる処理特性を検討した。アゾ染料はリアクター下部の嫌気域でほぼ完全に分解されたが,中間生成物の無機化は酸素供給速度に依存することを明らかにした。アゾ染料の負荷が過大になると中間生成物の無機化に阻害が現れることを明らかにした。一方,アゾ基に由来する窒素に関して,通気を行わない上向流型人工湿地では硝化が律速となり,通気を行う人工湿地では脱窒が律速となった。窒素除去を効率的に行うためには,さらに嫌気,好気の組み合わせを取り入れる必要があることが分かった。抽水植物としてヨシ,マコモを用いたが植物の影響は明確ではなかった。なお,アゾ染料の中間生成物が抽水植物に及ぼす影響に関して明確な結果は得られなかった。 以上の結果より,通気を行う上向流型人工湿地により,湿地内部に嫌気域と好気域を人為的に制御でき,生物難分解性有機汚濁物質の嫌気-好気処理が効率的に行えることを明らかにした。また,アゾ染料の処理に必要な滞留時間,負荷の範囲を明らかにした。
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Research Products
(5 results)