2008 Fiscal Year Annual Research Report
表面X線回折法によるSi表面におけるAuの1次元鎖状構造と相転移の研究
Project/Area Number |
07F07093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 敏男 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VOEGELI Wolfgang 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 一次元構造 / 表面 / シリコン / 金 / X線回折 / 相転移 |
Research Abstract |
物質中の電子を一次元的な構造に閉じ込めると一般的な三次元電子系で現れない現象が起こるため、このような一次元系はよく研究されている。シリコンの表面に金属原子を吸着させることで、一次元構造を形成させることができるので、最近、研究が盛んに行われている。本研究の目的は、Si(111)微傾斜表面上の金吸着による一次元構造の原子構造及び温度による構造変化を明らかにすることである。特にSi(553)-AuとSi(557)-Au表面に注目した。実験は表面X線回折を用いて高エネルギー加速器研究機構放射光施設(Photon Factory)とSPring-8で行った。 Si(553)-Au表面の原子構造を解明するため、表面X線回折強度を測定した。解析の結果で、金原子がステップに沿って並び、ステップ付近のシリコン原子がグラファイトに類似している構造をとることがわかった。他の金による表面構造と多少似ているが、理論計算で最も安定とされている構造と異なっている。 Si(557)-Au表面の構造はRobinsonらによって既にX線回折で研究されたが、電子状態の測定結果と合わない点があり、最近疑問がもたれている。そのため、この研究でSi(557)-Auの表面構造も調べたが、結果がRobinsonらの論文と一致している。 これらの表面は室温で一次元金属的な電子状態を持つが、低温にすると相転移が起こり、絶縁体になる。相転移で表面構造が変わるが、低温の長周期構造の回折強度を測ることで構造変化を調べた。主に金原子とその周りのシリコン原子の位置が相転移で変る。また、構造変化は理論計算で予測されている変化と異なっている。 X線回折ピークの強度と幅の温度依存性から相転移の種類とメカニズムについて情報を得られる。その測定結果は電荷密度波の成立による相転移に一致した。
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Research Products
(6 results)