2007 Fiscal Year Annual Research Report
原子-連続体マルチスケール解析手法を用いたナノスケール熱弾性特性に関する研究
Project/Area Number |
07F07097
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂 真澄 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUN Yuxin 東北大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 機械材料・材料力学 / マルチスケール解析 / 熱弾性 / 多結晶シリコン / マイクロ共振子 / 金属ナノ材料 / 金属マイクロ材料 / エレクトロマイグレーション |
Research Abstract |
平成19年度は申請時に計画した研究を遂行し、以下の研究実績を得た。 1.熱-機械結合がマイクロ共振子の挙動に及ぼす影響 多結晶シリコンマイクロ共振子の熱弾性減衰挙動を解析した。ここで共振子の厚さは結晶粒径より遥かに大きく、共振子は粒径に等しい厚さの薄層の積層構造体として取り扱った。解析では時間尺度の相違により薄層間の熱伝達挙動が異なることを考慮し、同共振子の減衰挙動解析に必要な支配式を導出した。解析の結果、多結晶シリコンマイクロ共振子では周波数に応じた二つの熱弾性減衰のピークが現れることを見出した。ここで共振子の厚さは結晶粒径より遥かに大きく、共振子は粒径に等しい厚さの薄層の積層構造体として取り扱った。解析では時間尺度の相違により薄層間の熱伝達挙動が異なることを考慮し、同共振子の減衰挙動解析に必要な支配式を導出した。解析の結果、多結晶シリコンマイクロ共振子では周波数に応じた二つの熱弾性減衰のピークが現れることを見出した。 2.ナノスケール薄膜の熱的および機械的特性の予測 ピコ秒もしくはフェムト秒レーザパルスで励起された金属薄膜内部の熱弾性波を解析した。金属薄膜に短時間レーザを照射した際、そのエネルギは、はじめ光子に吸収され、その後、格子へと拡散する。この際、熱弾性波が現れる。Au薄膜内部の電子温度、格子温度、変位と応力を時間の関数として解析した。その結果、薄膜内部の電子温度および格子温度は、レーザ照射直後にピークを取った後に緩和され、また、そのピーク温度は薄膜厚さが減少すると高くなるという興味深い結果を得た。 3.ナノワイヤ創製の基礎実験 アノード端にスリットを有する保護膜被覆型Al薄膜配線を作製し、種々の温度下において高密度電流を付与した際の原子の移動現象(エレクトロマイグレーション)を観察した。ここに、アノード側の保護膜に微小孔を設け、蓄積させたAl原子を排出することで、Alナノワイヤの生成を試みた。その結果、ナノワイヤはある電流密度と基板温度との組合せで生成した。さらに対応する数値解析手法を考案し、電流密度とアノード端温度がナノワイヤ形成の支配因子であることを裏付けた。また、アノード端温度がナノワイヤ生成時のそれよりも高い場合には、Alマイクロボールが形成されることを観察した。
|