2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07116
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉 典洋 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PORNPROMMIN Adichai 北海道大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 水深平均流体モデル / 浸透流 / 湧水侵食 / ガリ / 線形安定解析 / 卓越波長 / 地形スケール / ダルシー則 |
Research Abstract |
表面が平坦でわずかに傾いた不透水層上に一様な厚さの透水層が載っているような場合,透水層内には勾配方向に定常な浸透流が発生する.このような浸透流は通常3次元のダルシー則で表されるが,特に流れ方向の長さスケールが透水層の厚さ方向長さスケールに比較して卓越しているような場合,流れは3次元のダルシー則を水深方向に積分し平均を取った方程式によって表される.これまで河川流や表面流について発展させてきた水深平均流体モデルの概念を浸透流に適用することによって,薄い浸透層内の浸透流を表現する方程式を導いた.これを用いれば浸透層内の定常な浸透流が解析的に簡単な式形で表される. 浸透層の下流端が崖状になっている場合,下流端に生じた湧水によって侵食を受けた崖部は上流方向に移動していく.この際,活発な湧水が部分的に生じ崖部が選択的に侵食されるような場合,ガリ状の地形が形成される.ガリ状の地形はある一定の間隔を持って形成され,この間隔が地形スケールの最小単位となっている.上述の水深平均流体モデルを用いて得られた定常流を基本解とする線形安定解析を行い,ガリ間隔を理論的に説明できる数学モデルを構築した.それによると湧水侵食モデルに拡散型の項を付加することによって有限なガリ間隔が得られることが明らかとなった.このような拡散型の項は湧水による斜面侵食の際に斜面形状が曲率の大きな凹部になると侵食されにくくなり,逆に曲率の大きな凸部になると侵食されやすくなるという物理機構に対応していると考えられる. この仮説を検証するために実験室における模型実験を行い,実際に現れるガリ間隔を測定した.拡散項の大きさを崖部の高さと斜面方向の重力加速度で表すと,理論は実際のガリ間隔を上手く説明できることが示され,仮説が妥当である可能性が示された.
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Research Products
(5 results)