2007 Fiscal Year Annual Research Report
18-19世紀、朝鮮の首都漢城における居住空間の特性に関する都市史的研究
Project/Area Number |
07F07125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 毅 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
禹 成勳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 朝鮮 / 都市 / 漢城 |
Research Abstract |
本研究は、古代、中世、近世、そして近代において朝鮮半島に築かれた都市に関する歴史的な研究の一環として、朝鮮時代末期の18-19世紀、首都の漢城における屋敷をとりあげ、漢城における一つの社会としての屋敷の特質、さらに漢城の都市空間固有の構造について検討するものである。しかし、朝鮮時代、漢城に広がっていた居住地域の空間構造が把握できる史料は、最近までほとんど知られていなかった。このため初年度(2007年4月〜2008年3月)には、19世紀末から20世紀初期の漢城府に位置した住宅関連資料の調査と収集、そして文献史料を通じる通史的検討を中心に研究を行った。 その結果、本研究と関連した30余種の史料が韓国の図書館に所蔵されていることを確認し、それを収集した。その中で、「家舎成冊(隆熙2年)」、「土地家屋典當讃明原本(隆熙4年)」、「家屋謹明原本(隆熙1年)」、「土地家屋誰明原本(隆熙4年)」、「本局所管家屋實測調査簿(隆熙2)」、「朝鮮各官磨家屋圖本(隆熙2)年」、「實測圖(隆熙2)年」、「土地家屋調査書(光武11年)」、「家屋基地及建物面積計算表(隆熙2年)」などには、住宅の図面、所在地、面積と規模、隣接した建物、などが記録されている。戸籍とあわせることで住居・都市空間の実態を究明できる資料として認められる。 次に、朝鮮半島の都市に現れた機能的「洞」を所在として、その都市史的位相について検討した。「洞」は、行政単位の「里」を超えて機能的に分化・再編成された都市的空間として13世紀から出現し、後に都市のみの行政単位として用いられる。これは、都市商・工業の発展をもとに進められた都市化や都市的集積の結果が都市空間と地方との差を生み出し、そうした違いからできた都市と地方との区別意識が、本格的に行政単位名称に反映された結果であり、都市の段階を示す指標として注目される。
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