2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 功 Kyoto University, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OLOFSSON Weine Aake 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 放射光技術 / 電子顕微鏡 / X線吸収スペクトル / エキシトン効果 / ベーテ・サルペータ方程式 |
Research Abstract |
X線吸収スペクトルの吸収端近傍微細構造測定法(XANES)は内殻電子から非占有帯への電子遷移の情報を与える手法であり,現在放射光施設などを中心として広く測定されている.XANESは,注目する元素の局所環境にきわめて敏感であり,物質の同定方法として用いられている.そのなかで広いバンドギャップを有する絶縁体や半導体においては,内殻の正孔と励起電子の強い静電的相互作用に起因してエキシトンが生成し,それが,XANESスペクトルに大きな影響を及ぼすことが知られている.実験でXANESを測定し,それを理論計算に基づいて解釈するためには,このエキシトンの効果を取り入れた正確な電子状態計算を行うことが大切である. 内殻遷移に伴うエキシトンの効果を正確に取り入れるため,通常の第一原理計算を拡張し,ベーテ・サルペータ方程式(BSE)に基づいた多体摂動理論(MBPT)の適用を注意深く検討した.MBPTの結果を,1電子近似のもとでのスーパーセルを用いた密度汎関数理論(DFT)の結果と比較した.DFTの結果でも,実験をよく再現する場合が見られたが,内殻エキシトン状態についての顕わな情報はDFTでは与えられない. いくつかの絶縁材料について,第一原理BSE計算を系統的に行い,スーパーセルを用いたDFTの結果と比較した.その結果,第一原理BSE計算によって内殻エキシトン状態についての正確な情報が与えられ,XANESを再現することが判明した.
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Research Products
(3 results)