2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 功 Kyoto University, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OLOFSSON Weine Aake 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 放射光技術 / 電子顕微鏡 / X線吸収スペクトル / エキシトン効果 / ベーテ・サルペータ方程式 |
Research Abstract |
最近の放射光技術や電子顕微鏡を用いた分析技術の進展と相まって,X線吸収スペクトルや電子エネルギー損失分光の吸収端近傍に現れる微細構造であるXANESやELNESの重要性が強く認識されはじめている.XANESのエネルギー分解能を向上していくと,これまでに観察されなかったエキシトン効果による鋭い吸収線が現れることが少しずつ報告されるようになってきた.このエキシトン効果を第一原理計算で再現することは,従来研究ではできていなかった. このエキシトン効果による吸収線を励起電子と内殻空孔との電子相関をあらわに取り扱うベーテ・サルペータ方程式(BSE)を解くことによって精確に計算することを目指した研究を開始し,オーストリァ,レーベン大学のアンブロッシュたちと京都大学との共同研究を通じて,FLAPW法という高精度のバンド計算結果にベーテ・サルペータ計算を接続するプログラムを開発し,リチウムハライド結晶のLi-K端や,MgOのMg-L端の実験スペクトルに現れる特徴的なエキシトン効果を計算によって再現させることに平成19年度中に成功した. この成果は世界ではじめてのものであり,斯界トップレベルの雑誌であるPhysical Review Letters 誌に投稿中であるほか,平成20年1月にはスイス国ローザンヌで開催されたWorkshop on X-ray Spectroscopies:theory and experimentにおいて成果発表を行い,大きな反響が得られた.今後さらにこの計算手法をさまざまな系に拡大適用を進め,材料科学に貢献する仕事が多数なされることが期待される.
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Research Products
(1 results)