2008 Fiscal Year Annual Research Report
湿式酸化/抽出の組み合わせ処理による金属固体残渣中クロムの分離回収
Project/Area Number |
07F07128
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 仁樹 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KUCHAR Dalibor 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | めっきスラッジ / クロム / 重金属 / 湿式酸化 / 選択分離回収 |
Research Abstract |
本研究は、めっき産業から排出されるクロム、銅、亜鉛、ニッケルなどの重金属類を含んだ混合めっきスラッジからの重金属回収技術の開発を目的としている。なかでも、本研究では有害性が極めて高く溶出しやすいため周囲への環境被害への懸念が高まっているクロムに着目し、金属固体残渣中からのクロムの分離回収法として1)めっきスラッジ中からの重金属の抽出、2)促進酸化法を用いたクロムの酸化処理、3)クロムの選択回収、4)共存重金属類の選択沈澱処理を組み合わせた新規プロセスの提案、ならびにその基礎検討を行っている。 本年度は上記4ステップのうち2)、3)を実施した。2)のクロムの酸化処理では、まず最適処理条件を決定するため、模擬クロム溶液を用いた酸化実験を行った。この結果、最適酸化条件として空気雰囲気下、処理温度60℃、反応時間60分、pH=10が決定され、この際にはクロムの酸化率として76%が得られることを示した。本結果に基づき、実スラッジに対するクロムの酸化処理を、初期スラッジ濃度2〜10g/Lの範囲について行った。この結果、初期スラッジ濃度2g/Lの場合でクロムの酸化率52%、10g/Lの場合で62%となり、模擬溶液で得られた76%に比べて低い値となることが確認された。これは実スラッジ廃液に含有されるFe、Mgによるクロムの酸化阻害に起因することが、他の研究者らによる報告と本結果から推測された。次に、3)のクロムの選択回収では、Crの酸化処理後のNiとCrの混合溶液をpH=10に調整してNiの沈澱処理を行うことにより、CrとNiの分離を試みた。この結果、沈殿物にはNiが70%含まれる一方、Crが30%も含まれることが確認された。この原因としてクロムの酸化が不十分であったことが明らかとなり、クロムの回収効率の向上に向けてはCrの酸化率の向上が不可欠であることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)