2007 Fiscal Year Annual Research Report
窒素を有する配位子のキトサンへのグラフト重合と金属イオンの高選択的回収
Project/Area Number |
07F07129
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
馬場 由成 University of Miyazaki, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DHAKAL Prasad Rabindra 宮崎大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | キチン・キトサン / 金属イオン / 吸着材 / 還元吸着 / グラフト反応 / 疎水性キトサン / 深媒抽出 / キトサンキレート膜 |
Research Abstract |
本研究では、カニやエビの殻から得られるキチン・キトサンを利用した金属イオンの分離・回収に関する新規分離材(吸着材・抽出剤)の開発とその応用を展開している。 1.グラフト反応を利用した金属イオンの吸着・回収のためのキトサンへの窒素キレート配位子の固定化 レドックス試薬として硝酸アンモニウムセリウムを用いたグラフト反応によって、N,Nキレートを形成すると期待される4-ビニルピリジン、あるいはN-ビニルピロリドンをキトサンに大量に導入することに成功した。4-ビニルピリジン-グラフト化キトサンは、Pd(II)およびCu(II)を高選択的に吸着した。一方、ポリピロリドン-グラフト化キトサンは、Au(III)とPd(II)を高選択的に吸着し、市販の樹脂であるポリビニルポリピロリドンよりも優れていることが分かった。また、Au(III)はSEM写真やXRD、 XPSにより還元吸着されていることが明らかとなった。これは、Au(III)とピロリドンのキレート形成を経由したものであると予想される。これらの研究成果は、Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistryに投稿準備中である。 2.疎水性キトサン誘導体の簡易型新規調製法の開発とキレート分離膜への応用 成膜性に優れている生体高分子であるキトサンをアルキル化することによって疎水性キトサン誘導体を新規に合成した。本法の新規性は、キトサンのアミノ基をシッフ塩基で保護し、アルコール性酸素のアルキル化によってエーテル結合したアルキル基を有する疎水性キトサン、3, 6-O, O-ジデシル-N-2-ピリジルメチルキトサン(DPMC)の簡易型合成法の確立である。DPMCは、酸性溶液にしか溶けない前駆体のキトサンとは異なり、クロロホルムに溶解することがわかった。1mMのDPMCクロロホルム溶液による溶媒抽出を行い、Pd (II)、 Au (III)、 Pt (IV)のような貴金属イオンがCu (II)、 Ni (II)等のベースメタルから高選択的に抽出された。現在、有機溶媒にキトサン誘導体を溶解させ、キャスト法によってキレート分離膜を調製するためのアルキル基の最適化を行っている。合成法に関する新規性、抽出結果の特徴については、既に化学工学会の第73年会(平成20年3月)で発表した。
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