2008 Fiscal Year Annual Research Report
窒素を有する配位子のキトサンへのグラフト重合と金属イオンの高選択的回収
Project/Area Number |
07F07129
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
馬場 由成 University of Miyazaki, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RABINDRA Prasad Dhakal 宮崎大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 疎水性キトサン / 位置選択性 / フタロイル基 / アルキル化キトサン / ジベンゾクラウンエーテル / 貴金属 / 抽出剤 / 抽出 |
Research Abstract |
キトサンは多機能性を有する物質であり、キトサンのアミノ基を保護して、その位置選択的特性を活かすことにより新規な高機能性化合物を合成することができる。今回提案している新輝合成法では、キトサンのアミノ基を保護するだけでなく、高い反応効率が期待される多くの有機溶媒に溶解できるようになる。そこで、キトサンを有機溶媒に溶解させるために、フタロイル化によってキトサンのアミノ基を保護し、アルキルブロマイドを使って、3,6-O,O-ジデシル-N-ナフタロイルキトサンを得た。その後、ヒドラジンにより脱保護を行い、遊離なアミノ基を有するアルキル化キトサン誘導体を得た。このアルキル化キトサン誘導体を用いて金属イオンの抽出特性について検討した。さらに、このアルキル化キトサン誘導体が目的金属イオンに高い選択性を示すようにクラウンエーテルを導入することを検討した。まず、ジベンゾクラウンエーテルを出発原料として、トリフロロ酢酸とヘキサメチレンテトラミンを用いた"Duff"反応によってジホルミルジベンゾクラウンエーテルを合成した。このようにして得られたクラウンエーテルジアルデヒドは、アルキル化キトサン誘導体のミノ基とシッフ塩基を形成し、その後NaBH_4を用いてシッフ塩基を還元することによって、酸性溶液中で安定な3,6-O,O-ジデシル-N-ジベンゾクラウンエーテルキトサンを得た こうして得られた全く新しい多糖類の抽出試薬のクロロホルムやトルエン溶液を用いて、Pd(II)、Pt(IV)Au(III)、Cu(II)の抽出試験を行った。その結果、塩酸溶液からPd(II)>Pt(IV),Au(III)>>Cu(II)の序列で抽出されることが明らかとなり、クラウンエーテルの環状の大きさの違いによる金属イオンの分子認識が発現し、本抽出剤が貴金属とベースメタルとの分離や貴金属間の選択的分離材として期待される。
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