2009 Fiscal Year Annual Research Report
窒素を有する配位子のキトサンへのグラフト重合と金属イオンの高選択的回収
Project/Area Number |
07F07129
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
馬場 由成 University of Miyazaki, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RABINDRA Prasad Dhakal 宮崎大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | アルキル化キトサン / 反応位置選択性 / シッフ塩基 / クラウンエーテル / ジチオカーバメイト / 貴金属 / 抽出 / 膜透過 |
Research Abstract |
(1)新規架橋キトサン誘導体の合成と貴金属イオンの吸着特性 クラウンエーテル(CE)をキトサンに導入することによって、サイズ認識能と酸素原子の親和力の違いにより貴金属イオンの選択的認識機能を有するCEを固定化キトサン誘導体の合成と同時に、CEによるキトサンの架橋により、酸に溶解しないキトサン誘導体の合成に成功した。これを用いて貴金属イオンの吸着選択性を検討した。 (2)油溶性キトサン誘導体の合成と貴金属イオンの抽出特性 油溶性のキトサン誘導体を調製するための簡易型合成法の確立を行った。キトサンのアミノ基を保護するために、ピリジンアルデヒド、チオエーテルアルデヒド等との反応によりシッフ塩基を形成し、アミノ基を保護すると同時にキレート配位子を導入した。その後、疎水性にするためにキトサンの第一級アルコールと第二級アルコールに臭化アルキルを用いて長鎖アルキル基を導入した。さらに、ジチオカーバメートを導入した疎水性キトサン抽出剤(DTCC)を合成した。比較のために、同じ官能基を導入した疎水性のジチオカーバメイトセルロースも新たに合成し、貴金属イオンの吸着平衡および抽出平衡を検討した。これらの誘導体は空気酸化を受けやすいが、アンモニウム塩型で使用すれば繰り返し使用でき、貴金属イオンに対して高い選択性を示した。 (3)油溶性キトサン膜の作成とその貴金属イオンの膜透過性 キトサンの成膜性が高いことから、(2)で調製した油溶性キトサン誘導体であるDTCCの膜を作成し、金(III)やパラジウム(II)等の白金族金属イオンの選択的膜透過について検討した。本年度はその基礎データとして、膜の両側で起こる吸着と脱着について検討した。この膜の吸着に及ぼすpH、塩酸濃度の影響を調べ、脱着はこの膜に吸着したパラジウムを1Mのチオ尿素溶液、あるいは塩酸+チオ尿素溶液でほぼ100%溶離することがわかった。
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