2008 Fiscal Year Annual Research Report
原始緑藻の光合成集光装置とその光環境適応機構の解析
Project/Area Number |
07F07141
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
皆川 純 Hokkaido University, 低温科学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SWINGLEY Wesley Douglas 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 光合成 / プラシノ藻類 / 光ストレス / カロテノイド / 植物プランクトン |
Research Abstract |
プラシノ藻はもっとも原始的な緑藻である.これらピコプランクトンは世界中の海洋に生息し,地球規模での炭素固定に対する寄与が大変大きいものである.オストレオコッカス・タウリは,最初にゲノムが解明されたプラシノ藻として緑色植物における集光アンテナタンパク質の機能進化を研究する際の理想的なモデル種であると考えられる.本研究では,このオストレオコッカスから色素タンパク質複合体を単離し,その解析を行った.オストレオコッカスの光化学系Iは,高等植物等では光化学系I固有の集光アンテナタンパク質であるLHCIばかりでなく,光化学系II固有の集光アンテナタンパク質として知られる単量体LHCであるCP26やCP29が結合していた.また,これら光化学系I複合体とその集光アンテナには,他の酸素発生型光合成生物では共通してみられる700nm以上の赤外領域に吸収帯をもついわゆる"red chlorophyll"は存在しなかった.また,光化学系IIの集光アンテナには,過剰な光エネルギーを消去する系が備わっていることが通常だが,オストレオコッカスの光化学系IIアンテナは高等植物で見られる2段階の脱エポキシ化を伴うものでなく,1段階の脱エポキシ化を伴うものであることがわかった.このような原始緑藻の独特の集光アンテナの解析から,新しい集光アンテナタンパク質進化モデルが導かれた.それは,原始緑藻から始まり,緑藻からさらには高等植物に至るにあたり,光化学系IIによりエネルギーを分配するよう,光化学系II固有のアンテナを開発した,というものだ.
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Research Products
(2 results)