2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07152
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
金子 信博 Yokohama National University, 大学院・環境情報研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MARIANI Lucero 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 生物多様性 / 生態系機能 / 土壌構造 / CN比 / 分解系 |
Research Abstract |
土壌食性の無脊椎動物が、土壌を食べることによって土壌構造を改変することがどのように物質循環、特に炭素循環のに影響を及ぼすかを明らかにするために、大型土壌動物のなかで落葉と土壌を大量に摂食するミミズと、ババヤスデ類(キシャヤスデ、ミドリババヤスデ)を飼育し、摂食量、糞の炭素、窒素動態、糞の物理的安定性を調べた。調査地とした八ヶ岳山麓のカラマツ林には炭素含有率が20%を越す黒色土が分布しており、土壌食のキシャヤスデが高密度に分布している。採取したヤスデ7齢幼虫を用いて、土壌を与え、実験室で4週間飼育した。ヤスデを入れなかった土壌をコントロールとして、同様に4週間飼育した。ミミズとヤスデ糞団粒は、ともに排泄直後の高い含水率を保ち、初期には高濃度のアンモニア態窒素を含んでいた。アンモニア態窒素は硝化にともないミミズ糞では減少したが、ヤスデ糞ではほぼ同じ濃度を保ち、尿酸のような不溶性の排泄物の存在が想定された。糞団粒は排泄直後から耐水性を示し、安定であったが、人為的に団粒を崩して培養しても、化学的プロセスには大きな違いがなかった。土壌微生物バイオマス、および一酸化二窒素の生成量を測定したところ、それぞれコントロールに比べて、2.3、33%増加していた。従って、ヤスデの糞団粒は微生物活性が一時的に高まっていた。一方、糞団粒の炭素含有率、およびCN比は餌とした土擦よりも高まっており、ヤスデは有機物の多い土壌の一部分を選択して摂食し、糞の炭素含有率を高めていた。一酸化二窒素の生成は、団粒の内部が嫌気的になり、微生物による脱窒が生じていることを示唆している。これらのことから、ヤスデ糞団粒では微生物活性が一時的に高まるものの、団粒内部が嫌気的になるため、その後の有機物の分解は進行せず、炭素が糞のなかに保持されると考えた。
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Research Products
(1 results)