2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本及び中国東北部の水田土壌中に生育するファージ群集に関する系統分類学的比較研究
Project/Area Number |
07F07162
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 真人 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Guanghua 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | DGGE / T4型ファージ / g23遺伝子 / 系統樹 / 水田土壌 / 水平移動 / 生物多様性 / 中国東北部 |
Research Abstract |
青森県黒石市、秋田県大仙市、福岡県筑後市各近郊の水田から土壌を水稲生育期間中に3回採取し、DNA抽出後、T4型ファージの有するカプシド遺伝子(g23)に特異的なプライマーMzlAlbis、MZIA6を用いてPCR増幅させ、PCR産物を変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)で分画することにより、56本のg23遺伝子断片を取得し、その塩基配列を解読した。9本の断片の塩基配列はT-,PseudoT-,ExoT-evensグループの塩基配列に類似したが、残りの断片の大部分は、系統樹上でこれまでに水田から得られた塩基配列と同一のクラスターを形成する水田に特有な塩基配列であった。また、地域による塩基配列の違いは認められず、g23遺伝子をもととしたT4型ファージ群集の多様性は、全国共通と判断された。これらg23遺伝子の塩基配列は、海洋から得られた塩基配列とは全く異なる土壌特有のものであり、その多様性は海洋中のファージ群集より高いことが推察された。なお、本研究で解読した塩基配列のうち2つの配列はきわめて短い塩基長を有し、土壌中には新奇のg23遺伝子が存在することも示唆された。 次いで、中国東北部の15カ所の水田の土壌からDNAを抽出し、同様に土壌中のg23遺伝子を解析した。計53本のDGGEバンドの塩基配列を解読した結果、日本の水田で見いだされた水田に特有な6つのグループのうち2つのグループに属すとともに、中国の水田に特有なグループを形成するg23遺伝子の存在が明らかとなった。なお、53本のDGGEバンドの塩基配列のいずれも日本の水田から得られた塩基配列と同一の塩基配列は認められず、両水田間でのファージの移動、g23遺伝子の水平移動は日本海により制限されているものと推察された。
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