2007 Fiscal Year Annual Research Report
微生物コミュニティーにおける双安定(bistability)の二次代謝への応用
Project/Area Number |
07F07163
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿野 貴司 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN MohamadShahedur 東京工業大学, 資源化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 枯草菌 / 抗生物質 / 二次代謝 / 胞子形成 |
Research Abstract |
抗生物質を生産する枯草菌は、定常期に入ると抗生物質生産を開始するとともに、胞子形成も行う。この胞子と栄養細胞という2つの安定な状態が、双安定(bistability)的に共存する状態において、発芽休眠状態にある胞子を活性化し、もう一度抗生物質生産に寄与させることにより、高生産性が可能となる。この"second stage production"の誘導条件を枯草菌の標準菌株において探索した。様々な誘導条件を試みた結果、野生株での条件、2日目から4日目とは異なり、標準菌株では培養1日目が誘導可能条件であることが示された。リアクターへの応用を考えるため、ガラスカラムリアクターへの応用を試みた。ここでは、カラム底部において低酸素濃度状態が形成されることにより、bistability状態が、栄養細胞が多くなる方向に偏る傾向が認められた。このため、この状態の持続が抗生物質の高生産につながる可能性が示された。この低酸素状態は、指示薬を用いても検出できないくらいに低濃度である。しかし、空気の供給を遮断するとまったく生産性は認められなったため、微量の存在状態が必要でかつ高濃度の酸素は阻害的に働くことも見出された。さらに、バイオフィルムリアクターへの応用を試みたところ、液体培養で有効であった、温度上昇によるsecond stage productionの誘導は、バイオフィルムリアクターの場合は、有効ではないことが示された。しかし、通常の条件で形成されたバイオフィルムの解析を行ったところ、バイオフィルム内に、栄養細胞が豊富に含まれる画分が発生していることが見いだされた。区画をともなうbistability状態の発見は、非常に興味深く、これらの存在と生産性との関係が示唆された。
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Research Products
(1 results)