2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07168
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前藤 薫 Kobe University, 農学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABDUL Maleque Md. 神戸大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 生物多様性 / 森林管理 / 人工林 / 寄生蜂 / 里山 / 天敵昆虫 |
Research Abstract |
本課題では、日本の低地森林のモザイク景観を形成する主要要素である落葉広葉樹二次林と針葉樹人工林について、伐採後林齢の要因を加味しながら、昆虫生物多様性の形成に寄与する効果を解明する。そのため、多様な機能群の昆虫を寄主し、生態的撹乱に対して高い応答性をもつ捕食寄生性ハチ目昆虫(寄生蜂)に焦点をしぼって、森林タイプ、林齢、面積などの景観要素が、そのアバンダンスと多様性に与える効果を明らかにする。20年度は、茨城県北部の北茨城市(広葉樹二次林を主体とする里山地域)と隣接する旧里美村(スギ人工林を主体とする林業地域)の異なる林齢の林分に設定した17プロットにおいてマレーズトラップを用いて捕獲したコマユバチ科寄生蜂2926個体を21亜科81属に同定し、各プロットにおける属数とアバンタンスを算出した。伐採・植栽後の林齢に対する寄生蜂の属数とアバンタンスの反応を回帰分析した結果、いずれも広葉樹二次林では伐採50年後頃まで徐々に低下した後にほぼ一定になるのに対して、スギ人工林では植栽30-40年後まで急速に低下した後、広葉樹林の水準には至らないものの、やや回復する傾向が認められた。21年度は、資源利用が異なる寄生昆虫群に類別して寄生蜂の林齢に対する反応を解析・比較するほか、属組成の変化を植生の推移とあわせて多変量解析したのち、一連の研究成果を論文に取りまとめて投稿する。なお、これまでの研究成果の一部は2008年7月の国際昆虫学会(南アフリカ)で発表した。また、人工林の持続的管理のために節足動物を指標群として利用する研究について総説を発表した。なお本研究は、(独)森林総合研究所森林昆虫研究領域の協力を得て行っている。
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Research Products
(2 results)