2008 Fiscal Year Annual Research Report
白色腐朽菌とキシロース発酵性組換え酵母によるリグノセルロースからのエタノール生産
Project/Area Number |
07F07172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 隆司 Kyoto University, 生存圏研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Jian 京都大学, 生存圏研究所, 外国人共同研究員
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Keywords | エタノール / 白色腐朽菌 / マイクロ波 / 前処理 / 木材 |
Research Abstract |
再生可能な木質系バイオマスから高効率でバイオエタノールを生産するため、木材の効率的な前処理法を研究した。リグニン分解性担子菌である白色腐朽菌による木材前処理効果を高めるため、様々な条件で白色腐朽菌を培養し、培養後の木材の成分変化やマイクロ波照射後のセルラーゼによる酵素糖化率を測定した。白色腐朽菌としては、最も優れたバイオパルピング菌の一つであるCeriporiopsis subvermisporaと国内より分離した白色腐朽菌を用いた。培養実験の結果、前培養の条件や本培養の水分含量が、前処理効果に大きな影響を及ぼすことを明らかにし、培養条件を最適化した。この最適化には、統計的手法を利用した。マイクロ波照射前処理に関しては、有機溶媒を含む条件で触媒を加えたマイクロ波反応を木材に対して行い、照射が木材の成分変化や酵素糖化率に及ぼす影響を分析した。その結果、処理が難しいスギ材に対しても、原料木材の重量当たり50%以上の糖収率で酵素糖化できる反応系を開発した。また。触媒の性質と酵素糖化率の間に高い相関関係を見出した。また、反応後に有機溶媒を回収する方法についても検討した。キシロース発酵性組換え酵母は、プラスミドを保持型の栄養要求性株であり、キシロースの発酵能をもつが、エタノールの生産性は実用株に比べて低く、効率的なエタノール生産のためには、酵母の改良が必用であると結論された。このため、組換え細菌を用いた木材からのバイオエタノール生産の共同研究を実施した。スギ材のマイクロ波照射前処理法については、論文原稿としてまとめており、近日中に国際雑誌に投稿する予定にしている。また、白色腐朽菌処理に関しても、論文化を進めている。
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