2007 Fiscal Year Annual Research Report
P-糖タンパク質を介したスフィンゴ脂質の新規選択的吸収機構の解明
Project/Area Number |
07F07176
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平田 孝 Kyoto University, 農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOSSAIN Zakir 京都大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | スフィンゴイド塩基 / P-糖タンパク質 / スフィンゴシン / 消化管吸収 / 海洋生物 / アポトーシス / ナマコ |
Research Abstract |
スフィンゴ脂質の構成成分であるスフィンゴイド塩基の化学構造は生物種によって異なり、極めて多様である。我々ほ乳動物のスフィンゴイド塩基構造は比較的シンプルであるが、植物や無脊椎動物などでは、ほ乳動物には存在しない化学構造を有するスフィンゴイド塩基が存在している。スフィンゴ脂質は他の食品脂質成分に比べて充分な評価がなされておらず、ほ乳動物に存在しないスフィンゴイド塩基を有するスフィンゴ脂質の消化管吸収動態についての情報は極めて少ない。これらの多様なスフィンゴ脂質の消化吸収機構や生体内での働きはそれぞれ異なっている可能性がある。 本年度はナマコ(タマナコ)からスフィンゴイド塩基の調製を行った。極めて微量であるが一定量の塩基を調製でき、スフィンゴイド塩基組成はほ乳類と異なり、トリエン型であることを見いだした。また、アポトーシス作用を調べるためにヒト肝臓ガン細胞HepG2に調製した塩基を添加した。アポトーシス関連因子として、細胞増殖、DNA断片化、カスパーゼ-3活性、アポトーシス関連遺伝子のmRNA発現を調べた。 いずれの因子もナマコスフィンゴイド塩基がアポトーシスを惹起することを示した。特に、PPAR-γ mRNAのUp-regulationが見いだされた。このことから、ナマコスフィンゴイド塩基のHepG2に対するアポトーシス誘導作用はPPAR-γ mRNAのUp-regulationとカスパーゼ-3活性により進行することが示唆された。
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