2007 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥限界地における持続可能な農業開発のための総合的灌漑排水管理
Project/Area Number |
07F07177
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
北村 義信 Tottori University, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABOU EL HASSAN W.H. 鳥取大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 塩類集積 / 地下水管理 / ソーダ質化 / 塩害対策 / 排水再利用 / 広域水管理 / 灌漑農業 / 土壌管理 |
Research Abstract |
平成19年度は、総合的な灌漑排水管理のための広域水動態モデルの開発に着手した。特に、本研究ではGIS技術をベースに展開するため、そのための研究体制の整備を進め、必要なデータの収集に努めた。その上でモデルの構築を進めている。北村は、中央アジアのアラル海流域の事例をベースに、構築するモデルで考慮すべき事項を整理し、モデルを用いて行うべきシミュレーションについて検討した。その結果はAbou El Hassanがモデル化作業に反映させた。次に、本研究の主な研究サイトであるエジプトにおいて、現地調査を行った(平成20年1月6日〜23日)。まず、ナイルデルタに存在する既存灌漑農地の農業水利施設の設置状況、水管理の実態と地下水位の状況、塩類集積の状況、水管理改善プロジェクトの実施状況等を調査した。さらに、エジプトの砂漠地域での代表的大規模灌漑事業であるシナイ半島の北シナイ開発計画(NSDP:26万ha)、エジプト南部の南エジプト開発計画(SEDP:22万ha)の実施サイトを訪問し、灌漑導入後に懸念されるウォーターロギングと塩類集積の防止対策に関する調査・情報収集を行った。次に、NSDPを対象に水管理面の検討を行った。その結果は以下のように要約できる。(1)モデルで明らかにすべき点は、乾燥条件下で持続可能な開発に必要な水を確保するための水・土地管理の可能性である。(2)従来のものとは異なる組み合わせの作付パターンを提案した。この作付パターンにおいては、土地利用は177.8%となる。(3)修正した作付パターンと異なる土壌条件のもとでの期別用水量を計算した。(4)ナイルデルタにおける現時点での利用可能な水資源(すなわち排水)の使用に伴い、将来的に地域への可溶性塩類の蓄積による負の影響が懸念される。したがって、新たな淡水資源の開発保全が望まれる。
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Research Products
(5 results)