2008 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素シトクロームp450の反応解析と計算機代謝能予測システムの開発
Project/Area Number |
07F07192
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星野 忠次 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Wei Hua 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 薬物代謝酵素 / 遺伝子多型 / 予測計算技術 / 基質酵素複合体 / 計算機評価システム / タンパク質発現精製 / 結合親和性測定 / ソフトウェア開発 |
Research Abstract |
テーラーメイド医療の実現を目指して、患者への薬剤投与前の薬効予測や危険性回避に関する研究が盛んになっている。特に薬物代謝酵素p450(CYP)に関して、患者の遺伝子多型情報に基づき薬剤投与時の薬物動態の個人差を解析する研究が進んでいる。本研究では、薬物代謝を予測する計算技術の開発、すなわち任意の薬物に対する薬物代謝酵素p450(CYP)の薬物代謝能の評価ならびに遺伝子変異がある場合の代謝能の変化を計算機により予測できる手法の開発を行った。 CYP2A6ならびに2C9について、計算機解析を行った。CYP2A6については、RAMD(Randomly Accelerated Molecular Dynamics)という計算技術を用いて、CYPによって代謝された薬物が酵素の外側に排出される経路を詳しく解析した。薬物により排出経路が異なることなどを見出し、これに必要なエネルギーを算出することに成功した。この計算からは酵素代謝の速度を予測することができる。CYP2C9については、異なる7種類の薬物が、薬物代謝酵素の持つ遺伝子変異により、代謝能が低下することを、計算機で予測する方法を開拓した。始めに遺伝子変異を導入したCYP2C9をモデル化し、分子動力学計算で平衡構造を求めた。次に市販のドッキングソフトウェアを用いて、薬物と変異を導入したCYP2C9との結合予測を行った。結合予測は、複数回実行して、薬物が代謝されやすい部位に適切に収まるかどうかの確率を算出した。計算の結果は、実験データと整合性があることが判り、この計算手続きにより酵素代謝酵素の遺伝子多型による薬物の代謝能の違いを予測することができることが確認できた。
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Research Products
(2 results)