2007 Fiscal Year Annual Research Report
癌転移の分子機構におけるグリコサミノグリカンの機能の解明
Project/Area Number |
07F07194
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MURUGAN Sengottuvelan 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | グリコサミノグリカン / 癌 / 転移 / 浸潤 / コンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸 / ファージディスプレイ抗体 |
Research Abstract |
コンドロイチン硫酸(CS)のある種のバリアントが、ルイス肺癌細胞の転移を阻害することが証明されている。CSの持つ抗腫瘍活性は、CS構造中の電荷密度、分子量、硫酸化パターンと相関している可能性が考えられる。CS鎖の機能ドメインの配列を決定し、癌治療へ応用するため、癌細胞の転移を阻害するCS鎖の構造と阻害のメカニズムを調べる。本年度は、主に以下の実験を行なった。 1、高転移性と低転移性の2種類のルイス肺癌細胞株からグリコサミノグリカンを精製し、その構造を詳細に解析した。その結果、低転移性細胞株の方がより多くのCSを合成しているが、その構成二糖組成には大きな差があり、高転移性細胞株由来のCSの方にEユニットと呼ばれる特殊な高硫酸化二糖単位がより高い割合で含まれていることを明らかにした。 2、リアルタイム細胞計測システム(RT-CES)を利用して、様々な癌細胞株の増殖に対する、市販の抗CS抗体およびオランダの共同研究グループから恵与された抗CSファージディスプレイ抗体による阻害効果を調べた。その結果、高硫酸化CSを認識するファージディスプレイ抗体が、コントロールとして用いたシスプラチンよりも強い阻害活性を持つことを明らかにした。 現在、in vivoで癌細胞が肺や肝臓ヘコロニーを形成する活性を阻害する抗体を探索中である。また、種々の癌細胞株や癌組織を上記の各種抗体で免疫染色し、それぞれのエピトープ構造の発現の有無についても調べている。
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