2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌転移の分子機構におけるグリコサミノグリカンの機能の解明
Project/Area Number |
07F07194
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MURUGAN Sengottu velan 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | グリコサミノグリカン / 癌 / 転移 / 浸潤 / コンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸 / ファーシデスプレイ抗体 |
Research Abstract |
高硫酸化コンドロイチン硫酸(CS)の一種であるCS-Eが、ルイス肺癌細胞の転移を阻害することを証明し、論文として報告した。CSの持つ抗腫瘍活性は、CS構造中の電荷密度、分子量、硫酸化パターンと相関している可能性が考えられる。CS鎖の機能ドメインの配列を決定し、癌治療へ応用するため、癌細胞の転移を阻害するCS鎖の構造と阻害のメカニズムを調べている。本年度は、主に以下の実験を行なった。 1、肝臓転移性と肺転移性の2種類のマウス骨肉腫細胞株からグリコサミノグリカンを精製し、その構造を詳細に解析した。その結果、両者の構成二糖組成には大きな差があり、肝臓転移性細胞株由来のCSの方にEユニットと呼ばれる特殊な高硫酸化二糖単位がより高い割合で含まれていることを明らかにした。 2、マウスの尾静脈より注射した肝臓転移性骨肉腫細胞は、マウスの肝臓にコロニーを形成する。しかし、高硫酸化CSであるCS-Eや抗CS-Eファージディスプレイ抗体を同時に添加すると、それぞれの効果は抑制されることを見出した。同様の現象は高転移性のルイス肺癌を用いた実験から、昨年度、われわれが発見していたが、今回癌の悪性化と高硫酸化CS構造との相関が普遍的であることを見出した。また、種々の癌細胞株や癌組織、正常組織を抗CS-Eファージディスプレイ抗体で免疫染色し、そのエピトープ構造が癌特異的に発現していることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)