2009 Fiscal Year Annual Research Report
癌転移の分子機構におけるグリコサミノグリカンの機能の解明
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07F07194
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MURUGAN Sengottuvelan 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | グリコサミノグリカン / 癌 / 転移 / 浸潤 / コンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸 / ファージディスプレイ抗体 |
Research Abstract |
高硫酸化コンドロイチン硫酸(CS)の持つ抗腫瘍活性は、CS構造中の電荷密度、分子量、硫酸化パターンと相関している可能性が考えられる。CS鎖の機能ドメインの配列を決定し、癌治療へ応用するため、癌細胞の転移を阻害するCS鎖の構造と阻害のメカニズムを調べている。本年度は、主に以下の実験を行なった。 1、肝臓転移性と肺転移性の2種類のマウス骨肉腫細胞株からグリコサミノグリカンを精製し、その構造を詳細に解析した。肝臓転移性細胞株由来のCSの方にEユニットと呼ばれる特殊な高硫酸化二糖単位[HexUA-GalNAc(4-0-,6-0-ジ硫酸)]がより高い割合で含まれていることを明らかにした。高硫酸化CSであるCS-Eや抗CS-Eファージディスプレイ抗体の同時添加によって、マウスの尾静脈より注射した肝臓転移性骨肉腫細胞のコロニー形成は抑制されることを見出した。 2、肝再生におけるCSの役割を解明するため、マウスの肝臓を部分切除したのち、1日目、2日目、3日目、5日目、7日目において肝臓からCSを抽出し、その構造解析を行った。再生過程のマウス肝臓にはAユニットと呼ばれる構造[HexUA-GalNAc(4-0-硫酸)]とEユニット構造が主として含まれており、前者の割合は2日目まで増加し、その後3日目から7日目にかけて減少する。一方、後者は2日目まで減少し、その後3日目から7日目にかけて増加する。他のCS二糖単位には顕著な増減は見られなかった。
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Research Products
(5 results)