2007 Fiscal Year Annual Research Report
マウス輸精管平滑筋における電位依存性Naチャネルの分子実体の分子薬理学的解明
Project/Area Number |
07F07196
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺本 憲功 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 講師
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAI-LEI Zhu 九州大学, 大学院・医学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | イオンチャネル / 遺伝子改変マウス / 平滑筋型ナトリウムチャネル |
Research Abstract |
研究の目的:様々な平滑筋組織において活動電位が記録されtetrodotoxin投与にて選択的に消失する。しかし平滑筋型Na^+チャネルのチャネル特性やその分子実体に関しては未だ全く不明のままであり、本研究では活動電位の発生及びその伝播に生理的に重要な役割を果たす平滑筋型Na^+チャネルの分子実体を明らかにすることを研究目的とした。 研究実施計画:マウス輸精管平滑筋細胞における電位依存性Na^+チャネルの分子生物学的特性に関してホールセルパッチクランプ法、分子生物学的手法とNa_v1.6のαサブユニット蛋白質ノックアウトマウスを用いて検討した。酵素処理によって得られたマウス輸精管平滑筋単離細胞にパッチクランプ法を適用しCd^<2+>存在下で保持電位-70mVから脱分極刺激を与えると一過性の速い活性化と不活性化の時間経過を有する内向き電流が惹起された。この一過性の内向き電流はTTX(K_d値、11nM)やmibefradil(K_d値、3.3μM)の投与時、また細胞外液中のNa^+を等モルの他の1価陽イオン(TEA^+、Tris^+、NMDG^+)に置換すると可逆的に消失した。またNa^+チャネルの活性化薬であるveratridineを投与すると最大振幅値は増大した。一方、Ni^<2+>、nifedipineやkurtoxinは最大振幅値に対してほとんど影響がなかった。以上より一過性の内向き電流はTTX感受性電位依存性Na^+電流である可能性が示唆された。RT-PCR法を用いてNa^+チャネルのポアのαサブユニットのmRNA解析を行うとSCN1a、2aと8aの3種類のtranscriptが同定された。免疫組織化学法にてSCN8a由来のNa_v1.6のaサブユニット蛋白質に対する免疫反応のみがマウス輸精管平滑筋層に限局して観察された。さらにNa_v1.6のαサブユニット蛋白質ノックアウトマウスではNa^+電流は計測されなかった。以上よりマウス輸精管平滑筋にはTTX感受性電位依存性Na^+チャネルが存在しその分子実体は主にNa_v1.6である可能性が示唆された。
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