2008 Fiscal Year Annual Research Report
マウス輸精管平滑筋における電位依存性Naチャネルの分子実体の分子薬理学的解明
Project/Area Number |
07F07196
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺本 憲功 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 講師
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHU Hai-Lei 九州大学, 大学院・医学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | イオンチャネル / 遺伝子改変マウス / 平滑筋型ナトリウムチャネル |
Research Abstract |
研究の目的:様々な平滑筋組織において活動電位が記録されtetrodotoxin投与にて選択的に消失する。しかし平滑筋型Na^+チャネルのチャネル特性やその分子実体に関しては未だ全く不明のままであった。様々な分子生物学的手法(RT-PCR法、in situハイブリダイゼーション法、免疫組織化学染色法等)および電気生理学的手法を用いてマウス輸精管平滑筋におけるNaVチャネルの主要構造を成すαサブユニット蛋白質はScn8aにてコードされるNaV1.6であると報告した(<Zhu HL>___- et al.Biophyscal Journal,94:3340-3351,2008)。本研究にてNaV1.6チャネル蛋白質をコードするScn8a遺伝子欠損マウス(NaV1.6^<-1->マウス)を用いて分子遺伝学のツールを用いて検証することを研究目的とした。 研究実施内容:野生型マウス(NaV1.6^<+/+>マウス)における輸精管平滑筋細胞においてはNa^+電流は記録されたが、一方、NaV1.6^<-/->マウス輸精管平滑筋ではNa^+電流は全く記録されなかった(<Zhu HL>___- et al.British Journal of Pharmcology,in press,2009)。またNaV1.6^<+/+>マウスの輸精管平滑筋細胞に対してNa^+チャネルの選択的活性化薬であるveratridineを投与すると低濃度では活性化されたが、高濃度のveratridineではNa^+電流は抑制された。しかしveratridine投与にてtail電流および持続的なNa^+電流が新たに生じた。一方でNaV1.6^<+/+>マウス輸精管平滑筋細胞に対してveratridineを投与しても何も電流が生じなかった。以上の結果から平滑筋型NaVチャネルのαサブユニット蛋白質の分子実体はNaV1.6である可能性が強く示唆された。 今後の研究計画:今後、NaV1.6^<-/->マウスとNaV1.6^<+/+>マウスを用い、両マウスにおける輸精管平滑筋の機能的な特性を比較することにて平滑筋型NaVチャネルに関する生理学的な役割を明らかにする計画である。
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