2007 Fiscal Year Annual Research Report
スクラーゼ・イソマルターゼ及びジペプジルペプチターゼIVの過剰発現機構の解明
Project/Area Number |
07F07200
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 謹輔 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GU Ning 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | SI / DPP-IV / HNF-1 / GLP-1 / Caco-2 |
Research Abstract |
慢性的高血糖の糖尿病患者にみられる二糖類分解酵素-スクラーゼ・イソマルターゼ(SI)、及びインスリン分泌促進ホルモンGLP-1の分解酵素-ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)の過剰発現は、食後高血糖や早期インスリン分泌不全を引き起こし、糖尿病の病態をさらに悪化する可能性が考えられる。本研究の目的は、高血糖によるスクラーゼ・イソマルターゼ(SI)、及びジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)の過剰発現機構の解明とする。 まず、小腸モデル細胞Caco-2を用いて、SI及びDPP-IV遺伝子上流領域に結合部位を有する転写調節因子の同定を行った。その結果、転写調節因子Hepatocyte nu clear factor(HNF)-1が両者と結合することが明らかになった。次に、異なるグルコース濃度の培地でCaco-2細胞を刺激し、SI及びDPP-IV遺伝子発現量、酵素活性、HNF-1の遺伝子発現量の変化をrealtime PCR及びwestern blotting法で確認した。SI及びDPP-IVの遺伝子発現量、酵素活性の上昇とともに、HNF-1のサブタイプHNF-1αの発現量が増加したことが分かった。 転写調節因子HNF-1αは、高血糖によるSI及びDPP-IVの発現調節に関与する候補因子と考えられる。現在まで、高血糖によるSI及びDPP-IVの発現調節機構が明らかでなかったため、SI及びDPP-IVの発現レベルでの阻害剤はまだ開発されていない。本研究結果から、転写促進因子HNF-1αの阻害剤がみつかれば、それは、SI及びDPP-IVの発現を同時に阻害できると考えられ、糖尿病の新たな治療薬となる可能性が大いに期待される。
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