2007 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性サイトカイン・ケモカインを標的とした大腸がん予防の基礎的検討
Project/Area Number |
07F07201
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
向田 直史 Kanazawa University, がん研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
POPIVANOVA Boryana K. 金沢大学, がん研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 大腸がん / 炎症性腸疾患 / 腫瘍壊死因子 / ケモカイン / サイクロオキゲナーゼ / βカテニン / アゾキシメタン / デキストラ硫酸塩 |
Research Abstract |
アゾキシメタン(AOM)をマウスの腹腔内に投与した5日後から、デキストラン硫酸塩(DSS)を飲料水た加えて5日間飲用させることを3回間歇的に反復させて生じさせる、大腸がん発症モデルについて検討を加えた。野生型マウスでは、サイクロオキゲナーゼ(COX)-2の発現亢進とともに、全例でβカテニンの核染を伴う腺がんが多発した。腫瘍壊死因子レセプター(TNF-R)p55欠損マウスでは、全経過を通してCOX-2発現充進が減弱している上に、腫瘍の発生数が著明に低下した。骨髄キメラマウスの解析から、COX-2を発現している骨髄由来細胞である顆粒球・マクロファージが、TNFの作用によって、腸管内に浸潤することによって大腸がんの発症・進展が起きることが判明した。さらに、すでに大腸がんが発症している段階で、TNFに対する阻害剤を野生型マウズに投与しても、発生した腫瘍の数と大きさとが減少し、βカテニンの遺伝子変異の頻度も減少することが明らかとした。これらの結果を、Journal of Clinical Investigationに発表した。この結果は、TNFを標的とした大腸がん治療の可能性を強く示唆する結果であると考えられる。 TNF-Rp55欠損マウスでは、野生型マウスに比べて、種々のケモカインの発現が亢進しておらず、これらのケモカインに対するレセプターを欠損しているマウスでは、AOM/DSSによる大腸がん発症が軽減するという予備的な結果も得られた。
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