2007 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト家禽由来鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に関するウイルス学的研究
Project/Area Number |
07F07203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生田 和良 Osaka University, 微生物病研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
IBRAHIM Madiha Salah 大阪大学, 微生物病研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 鳥インフルエンザウイルス / H5N1 / エジプト / ニワトリ / アヒル / 肺 / 脳 / 遺伝子配列 |
Research Abstract |
新興ウイルス感染症が次々と出現し、特に、パンデミックインフルエンザの出現については、グローバルな立場からの対応が迫られている。最近、エジプトにおいても鳥インフルエンザウイルス(H5N1)のアウトブレイクが発生した。大量の家禽が感染し、その多くが死亡しており、ヒトへの感染例も多く認められている。エジプトにおける大きな特徴は感染したアヒルに症状が認められる点である。一般に、東南アジア諸国で報告されているアヒルへの感染例では、特別の症状を認めないとするものであるのに対して、エジプトでは農場のアヒルがほぼ全滅するという、アヒルに対する病原性が極めて高い。そこで、本研究では、獣医感染症学の立場から、エジプトの家禽類(ニワトリとアヒル)からのサンプル(呼吸器系、中枢神経系)を入手し、そのウイルス学的性状について詳細な解析を行う予定である。本年度は、1)エジプトの、カイロ周辺の農場から入手したニワトリ、アヒルからのサンプル(肺、脳)を、ニワトリ発育鶏卵へ接種することにより、ウイルス分離をそれぞれ行った。肺由来株と脳由来株間で、増殖速度等のウイルス学的性状に差異が認められた。2)得られたウイルス分離株について、HA、NA等の各遺伝子の配列を決定し、幾つかの病原性に重要と思われる遺伝子変異が存在していることを確認した。また、ウイルス分離に用いた元の組織のPCR産物から数十個のcDNAクローンを分離し、遺伝子配列を決定することにより、一部のクローンに多様性があることが判明した。
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