2007 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシンII受容体サブタイプによる血管平滑筋細胞老化の新規調節機構の検討
Project/Area Number |
07F07208
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
堀内 正嗣 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MIN Li-Juan 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | アンジオテンシンII / 細胞老化 / 血管平滑筋細胞 / 動脈硬化 / 酸化ストレス / AT_2受容体 / アルドステロン / アンジオテンシン受容体ブロッカー |
Research Abstract |
研究1:レニン・アンジオテンシン系(RAS)の主要な作用因子であるアンジオテンシンII(Ang II)と最終産物であるアルドステロンの血管老化に及ぼす影響を検討した。ラットVSMCを用いてにAng IIの連日刺激により誘導される老化細胞の増加にVSMCより分泌されるアルドステロンが影響していること、また単独ではVSMCの老化を認めない低濃度のAng IIでも低濃度アルドステロンが存在するとVSMCの老化が観察された。こうした老化機構に酸化ストレス/Ki-ras2A/p53/p21のpathwayが関与していた。 研究2:アンジオテンシンII2型(AT_2)受容体の血管老化に及ぼす影響について検討した。AT_2受容体欠損(AT_2KO)マウス由来のVSMCでは野生型に比較してAng IIによる細胞老化が促進され、そのメカニズムにAT_2受容体刺激で誘導されるDNA修復因子、MMS2の関与が示唆された。MMS2はAT_1受容体シグナルによる酸化ストレス/Ki-ras2A/p53/p21のpathwayには関連せず、AT_2受容体独自の老化制御機構があることがわかった。また、AT_2KOマウスを用いたX線照射モデルでの動物実験でも同様にAT_2KOマウスで血管老化の促進が観察された。 以上の結果より血管老化においてAng IIだけでなくアルドステロンも老化に関与しており両者がそれぞれあるいは相乗的に細胞老化を促進していること、また血管老化においてAT_2受容体シグナルもAT_1受容体シグナルと独立して関与することが示唆された。こうしたことから加齢に伴う血管病変にRASの効果的な制御を視野に入れた治療への応用が期待される。今後さらに血管老化に関与するRAS因子を検討し動脈硬化、ひいては細胞老化のメカニズムの解明に繋げたい。
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