2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本文学における中国古典小説の受容と変容-「変身」の主題を中心に-
Project/Area Number |
07F07302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸倉 英美 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Pengfei 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国:日本 / 中国古典小説 / 変身譚 / 『聊斎志異』 / 『源氏物語』 / 『今昔物語』 / 『雨月物語』 |
Research Abstract |
本研究は、中国の古典小説が日本文学にどのように受容されたかを、変身の物語という視点から考察するものである。その特色は、唐代・明代、及び清代の『聊斎志異』という、三つの時代の変身譚と、それぞれを受容して作られた日本の作品とを比較することで、両国文学の比較研究を、より高い精度で、総合的包括的に行う点にある。本年度は、まず『古事記』『日本書紀』『日本霊異記』『今昔物語』などに見られる変身モチーフを六朝・唐代の変身譚と比較した。『今昔物語』についてはこれまでにも中国の作品との比較研究が行われているが、今回の調査によって、中国の小説との関連が予想される作品をさらに多数発見することができた。また当初の予定にはなかった『善家秘記』『法華験記』などの書物にも有意義な資料が見つかった。LI,Pengfeiはこの成果を、「魏晋隋唐小説在日本的伝播和演変考論」としてまとめ、戸倉が主宰し、学外の専門家も多数参加する中国古典小説勉強会で発表した。その際出席者から寄せられた意見を参考に、中国の小説がどのように日本へ伝わり、伝来後どのような変化を遂げたかを主題として論文の執筆を進めている。続いて『雨月物語』を中心とする江戸時代の小説と、明代の小説との研究に着手した。『雨月物語』についても、中国の作品との比較研究が行われているが、中国では同じ主題の作品が歴代執筆され、六朝・唐・宋・明代と時代を経るにつれ、大きく変化していることが考慮されていない。中国小説の歴史的変化を踏まえ、原作とされた明代の作晶と比較することで、『雨月物語』の特色をより鮮明に把握することができた。この成果は次年度に発表する予定である。
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Research Products
(4 results)