2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07308
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
小長谷 有紀 National Museum of Ethnology, 研究戦略センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAQIN 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 国際研究者交流 / モンゴル / 草原の生産力 / 持続性 / 遊牧 / GPS |
Research Abstract |
本研究の目的は、モンゴル草原における家畜の採食圧が自然植生の生産性の時間と空間分布との対応性、それを実現するための伝統的な管理方法を調べることを通じて、草原生態系における遊牧の生態学的な意義を明らかにすることである。 21年度に実施した内容: 1.2008年6月に、モンゴルの森林草原にて比較調査を行った。異なる気候と植生条件のもとで飼育する家畜の種類と、単位家畜を養うための年間遊牧距離も大きく異なる。そのため、乳製品の製造、畜産品の出荷品目をはじめ、日常的な生活の内容にも相当な差が現れ、自然環境の多様性が文化の多様性をもたらしていることを理解した。 2.乾燥草原と森林草原の調査地において、家畜の行動を追跡する目的のGPSを計16台設置したほか、遊牧の季節移動を記録してもらうことを目的に、10世帯の遊牧民に小型GPSを渡した。これまで得られたGPSデータから、同じタイプの草原では、温暖な季節の日帰り放牧距離が、寒冷な季節より統計的に有意に長いことが明らかになった。温暖な季節では、家畜が歩いた分だけ新鮮な牧草を採食できることと、日課となる水場へのアクセスによって日帰り放牧距離が長くなり、反対に寒い季節では低い気温の中、歩くと体力が消耗されることと、降雪によって水制限が解消されるため、日帰り放牧の距離が短縮したと考えられる。 3.2008年8月に、乾燥草原と典型草原にて植生調査と遊牧に関する聞き取り調査を行った。群落優占種の種類が家畜の採食嗜好性を通して遊牧の形態に影響を及ぼしていることが分かった。
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Research Products
(3 results)