2007 Fiscal Year Annual Research Report
情報と流通システム-空間的競争モデルを用いたインターネット小売市場に関する分析
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07F07313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成生 達彦 Kyoto University, 経営管理研究部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Haiyan 京都大学, 経営管理研究部, 外国人特別研究員
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Keywords | ネットチャネル / 店舗業者 / 配達費用 / 消費者余剰 / 経済厚生 |
Research Abstract |
19年度の研究目的としては、リアル店舗業者、ネット通販業者やB&C業者など、多様なタイプの小売業者が存在する状況で、生産者の立場からネットチャネルを導入するための条件を検討し、また、そのことが経済厚生に与える効果を明らかにすることです。インターネット市場の実態、オンライン市場とリアル市場との関係などをサーベイしたうえで、「生産者によるネットチャネルの管理と経済厚生」および「インターネット時代のチャネル管理一均衡と厚生」を題とする二本の論文を作成し、今は査読付き専門誌への投稿中です。 主要な結論はまず第1に、生産者は、店舗間の距離が長いために消費者の移動費用が高く、かつネット業者の配達費用が低い場合にはネットチャネルを導入する。第2に、ネットチャネルの導入によって、多くの状況で消費者厚生は悪化する(この結論は独占的生産者の仮定に依存しており、複数の生産者の間で競争が行われるならば、ネット価格が下がるから消費者厚生は向上するではないかと予想されます)。そして第3に、ネット業者の配達費用がある程度高い場合には、ネットチャネルの導入によって経済厚生が低下します。1つの例外は、フランチャイズ料を徴収不可能で、導入前に一部の消費者が購入できない状況で、かつ転売防止のために各販売業者に同一価格で出荷する場合です。このとき、配達費用がある程度高ければ、当初店舗から購入していた消費者は、導入後も依然として店舗から購入し、当初購入しなった消費者だけがネットチャネルを利用することになります。その結果、移動・配達費用面での無駄が生じないため、経済厚生が増加するのです。
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