2008 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯西部北太平洋において台風の通過が海洋の炭素循環に及ぼす影響とその経時変化
Project/Area Number |
07F07319
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森本 昭彦 Nagoya University, 地球水循環研究センター, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EKO Siswanto 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 一次生産 / 人工衛星 / 台風 / 新生産 / 湧昇 / 黒潮暖流 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
研究概要 台湾北東陸棚付近において台風通過に伴い黒潮が陸棚上へ乗り上げ、乗り上げた黒潮の西側で海洋の生物生産に必要な栄養塩類が表層へ輸送されることが明らかになっている。本研究では、この現象によりどの程度生物生産が増加し、大気-海洋間で炭素が交換するのかを評価することを目的とした。 今までの結果と今後の計画 台湾北東海域において、遠距離海洋レーダーにより黒潮流軸の変動が観測されている期間に当海域付近を台風が通過した16ケースについて、台風通過後の基礎生産の増加量と台風の風速、台風の移動速度、黒潮流軸の陸棚上への移動、をそれぞれ比較した。台湾北東部の基礎生産の増加は台風の風速との関係は見られなく、台風の移動速度と黒潮流軸の陸棚上への移動と相関があった。さらに、黒潮流軸の陸棚上への移動は当海域の南風の強度と高い相関を持つことを明らかにした。この結果から、台風通過による基礎生産の増加量を、台風の移動速度と観測海域に近い与那国島の風速データから推定する経験式を作成した。この経験式により過去27年間の台風通過により増加された基礎生産を推定し、その基礎生産が東シナ海全体の夏から秋までのそれの0.6-11.8%をしめることを明らかにした。このことは台風の到来頻度が東シナ海陸棚上の生物生産に大きな影響を与えることを示したものである。今後は、基礎生産の増加による炭素の吸収量と底層の水が湧昇することによる炭層の放出量を見積り、台風通過に伴う正味の炭素輸送量を明らかにする予定である。
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Research Products
(3 results)