2009 Fiscal Year Annual Research Report
カルツァ・クライン・ブラックホールの古典及び量子論的側面
Project/Area Number |
07F07327
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早田 次郎 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KONOPLYA Roman 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 高次元 / ブラックホール / 安定性 / 高階微分 / ホーキング放射 |
Research Abstract |
高次元ブラックホールは弦理論の予言の1つであり、加速器実験において重要な役割を果たす可能性がある。特に、その安定性は重要な研究テーマとなっている。 我々はすでにKaluza-Kleinブラックホールや特殊な回転するブラックホールの安定性を示すことに成功している。本年度は、さらに、高次元ブラックホールの安定性に関して重要な発見をした。Einsteinの重力理論の自然な拡張であるLovelock重力と呼ばれる高階微分の入った理論におけるブラックホールの安定性の解析を行い、質量が小さなブラックホールが偶数次元では不安定性を示すことを明らかにした。特に、短波長で強い不安定性を示すことを発見した。このような現象はEinsteinの重力理論では見られない。高階微分は量子重力理論による補正とみなすことこともできるが、我々の発見はこのような摂動的な重力理論の記述が破綻する可能性があることを示しており、弦理論などの基礎理論を構築するうえでも、非常に重要な示唆を与えるものと思われる。 また、加速器実験でつくられるかもしれない高次元の回転するブラックホールからの重力子のホーキング放射を計算することに成功した。このような計算は実際にデータと比較してブラックホール生成の有無を判定するために重要となるであろう。
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Research Products
(2 results)